Scilabでは、スカラーと行列の演算を同じように扱うことができる。 以下、A, Bを行列、s, tをスカラーとする。 MATLAB、Octave、Scilabではスカラーの四則演算は電卓のように計算できる。 例えば、スカラーの和は
> s=3;
> t=5;
> s+t
ans =
8.と計算できる。
また、Scilabでは行列の加減算と乗算は スカラーと同じ+,-,*の記号で実行できる。 例として、2つの行列
> A=[1 2;3 4];
> B=[-5 6;9 3];を考えよう。例えば、減算A-Bは
> A-B
ans =
6 -4
-6 1と数式通りにA-Bと書けば答えが得られる。 このように、同じ+,-,*の記号でも、演算する対象がスカラーであるか 行列であるかをMATLAB,Octave,Scilabはソフトの方で判定して、 その対象における正しい演算が選択されるようになっている。すなわち、 演算が対象によってことなるように、別の言葉で言えば多重に定義 されている。これをソフトウエア科学では演算子多重定義という。
演算子多重定義による行列の計算の例を示す。