三部会連携「応用数理セミナー」
日時: | 2017年12月26日(火) |
場所: | 早稲田大学西早稲田キャンパス 63号館 2階 05会議室 |
〒169-8555 東京都新宿区大久保3-4-1 | |
主催: | 日本応用数理学会 |
科学技術計算と数値解析 研究部会 | |
計算の品質 研究部会 | |
行列・固有値の解法とその応用 研究部会 | |
早稲田大学 |
「科学技術計算と数値解析」,「行列・固有値問題の解法とその応用」,「計算の品質」の三部会が連携し,
学部生・大学院生,企業の研究者・技術者を対象にした,「応用数理セミナー」を実施します.
初心者向きの内容を意識しておりますので,分野外の方も気軽にご参加いただけます.
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【概要】 有限要素法は広く用いられている数値解析手法であり、さらに、その構成法が関数解析と相性が良いこともあって、誤差解析についても理論的な研究が進んでいる。三角形要素や四面体要素を用いる有限要素法の誤差解析においては、三角形や四面体上の補間誤差評価が本質的な役割を果たしている。講演では、補間誤差評価についての研究の現状と、その有限要素法への応用について解説する。
【概要】 高性能計算環境はメニーコア化,超並列化が進んでおり,それに伴い数値計算ライブラリの実装技術も大きく変化している.一方で計算精度や耐故障性,再現性といった「計算の品質」を考慮したライブラリの必要性も議論されている.本講演では講演者のこれまでの研究から,GPUにおけるBLASルーチンの実装・最適化,京コンピュータにおける通信削減型行列積(2.5次元行列積)の実装事例を紹介する.そして実装技術の観点から,次世代計算機に向けて「計算の品質」を考慮した数値計算ライブラリを開発する上での技術的課題を整理する.
【概要】 解に収束する近似解列を生成させる反復法の考え方は,数値計算法の随所に見られる.線形計算(連立一次方程式,固有値・特異値問題)に現れる反復法では,線形代数が言うまでもなく活躍し,線形写像の構造や線形部分空間の次元を意識した解法が巧妙に開発されている.手前味噌的で恐縮であるが,我々が開発してきた反復法の数理的側面により線形代数自身が深まることもあれば,他方,応用的側面では共同研究を通して「線形計算の反復法」と「量子と名の付く計算物理学」との相性の良さに驚くこともある.本セミナーでは,線形計算の反復法に関して簡単な歴史を踏まえつつ,これまで行ってきた反復法の研究を基礎と応用の観点から紹介する.
【概要 1.】 偏微分方程式に代表される数理モデルのコンピュータ・シミュレーションは,理工学に留まらず,経済学や生命科学にまで応用範囲を拡げ,現代の科学技術における主要な研究方法の一つになっている.一方で,数学的な立場からのシミュレーション方法の研究,すなわち数値解析の役割は,高速・高精度の数値計算方法を確立することに加えて,数値計算方法の正当性を保証する明快な数学理論を構築することにある.いずれの立場からであっても,適当な仮定・条件のもとで,ある数学的事実が正しい,ことを研究することになる.典型的には,偏微分方程式の解が十分に滑らかならば,差分法や有限要素法による近似解が,偏微分方程式の厳密な解に収束することを証明するわけである.仮定・条件が成立していない時には,(ある程度の教訓にはなりえても)何も明確には主張できない.そして,研究手法として数値計算を使う研究者が,これらの仮定・条件に,いつも細心の注意を払っているわけではない.この講義では,一見,計算が上手くいっている(収束している)ようだが,実は,目標としている問題とはまったく別の問題の解を計算してしまっているという例(バブシュカのパラドックス)を始めとする,数値計算における幾つかのパラドックスを紹介し,数値計算に潜む様々なトラップを避ける手助けとしたい.
【概要 2.】 偏微分方程式の時間離散化に不連続ガレルキン法を適用するdG(q)法について,Banach-Necas-Babuskaの定理に基づいた変分法的な解析を紹介する.放物型問題を,あたかも楕円型のように扱えるのが大きな利点である.